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業績棚卸し(4)国際秩序論 [雑感]

東アジアを越えた、大きな世界の変動をつかむためのインプットは怠っていないつもりですが、論文はまだまだこれから。力を入れたいと思っています。

主要業績
1. E. Goh and R. Sahashi* “Worldviews on the United States, Alliances, and the Changing International Order,” Contemporary Politics, in print (2020).
2.「冷戦後の国際秩序とアメリカ」『神奈川大学評論』第93号(2019年)。

>> 2は、それなりに自分の議論を上手く表現できたと感じます。1は4年にわたって行った国際共同研究のPIとしての総括です。アドバイスをもらっていたGoh教授との共著(責任著者)です。
 ほかに、坂本義和「グローバル・アイデンティティの確立に向けて」を翻訳し、全集、また文庫に入っています。院生のころ、大串先生とともにこれを翻訳できたことはその後に繋がる良い経験となりました。

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業績棚卸し(3)現代日本外交論 [雑感]

これも過去十数年、続けてきた研究分野です。

主要業績
1.「対外政策:アジア外交の安全保障化」竹中治堅編『二つの政権交代:政策は変わったのか』勁草書房,2017年。
2.「民主党外交と政治主導の失敗」『政策・経営研究』(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)、第25号(2013年2月)、115-128頁。
3.「鳩山由紀夫政権におけるアジア外交 ―「東アジア共同体」構想の変容を手掛かりに」『問題と研究』(国立政治大学国際関係研究中心)2011年4・5・6月号、1-40頁。
4.「安全保障政策の変容と行動空間の拡大」御厨貴編『変貌する日本政治 ―混迷の時代を読み解く』勁草書房、2009年。

>> 1.4を読んでもらうと90年代から第二次安倍政権まで、一応通史的な形になっています(外交安保でもカバーしていない箇所が多々あるのですが)。国内政治に引っ張られた通史とは一線を画してはいる、と思います。民主党外交に少し関心があったので2,3を書いています(1にも多少吸収)。2は民主党外交を多角的に評価しています。3は東アジア共同体構想だけに焦点をあてています。2,3とも政官関係のなかで官僚がそれなりに当時は頑張って修正していたことがわかります。他方、1でも書いていませんが、安倍政権の長期化にともない、政官関係は民主党時代よりも変化しており、それは政策への影響も多々あります。数年後にも、このあたりを改めてまとめなおし、日本外交論を書きたいものです。

外国語業績
1. R. Sahashi and T. Satake* “Rise of China and Japan’s ‘vision’ for free and open Indo-Pacific,” Journal of Contemporary China, in print (2020).
2. “American Power in Japanese Security Strategy,” in Andrew O’Neil and Michael Heazle (eds.), China's Rise and Australia–Japan–US Relations Primacy and Leadership in East Asia, London: Edward Elger, 2018, pp.143-166. https://doi.org/10.4337/9781788110938.00016
3. “Japan-Taiwan Relations since 2008: An Evolving, Practical, Non-Strategic Partnership,” Jean-Pierre Cabestan and Jacques deLisle (eds.), Political Changes in Taiwan under Ma Ying-jeou: Partisan conflict, policy choices, external constraints and security challenges, London and New York: Routledge, 2014, pp.232-246.
4. “Security Partnerships in Japanese Asia Strategy: Creating Order, Building Capacity, and Sharing Burden,” Asie. Visions 61 (Paris: Institut français des relations internationales), February 2013, pp. 1-23.
5. 「亚太秩序的变化与日本的战略」『中国国際戦略評論』(世界知識社、北京大学国際戦略研究センター)、2012年号、33-44頁。(中国語)

>>日本外交の、とくにパートナーシップ外交について関心を持って何本か書きはじめ(4, 5)、日台関係(3)、日米同盟(2)についても書きました。ただ、今英語の世界の日本外交論で一番必要なのは日中関係だと思ってます。2020年度にはこれで単著論文を一本予定しています(1も近いが、それとは別に)。
 ほかに、 R. Sahashi and J. Gannon (eds.), Looking for Leadership: The Dilemma of Political Leadership in Japan, Tokyo and New York: Japan Center for International Exchange, 2015.という本をまとめており、コロンビア大学大学院はじめ、教科書としても使われています。

論評
1.「平和主義と安全保障の交錯」『自由と正義』(日本弁護士連合会)、65巻9号(2014年), 16-21頁。
2.「台頭する中国をどう見るか」『神奈川大学評論』第71号(2012年)、137−145頁。
3.「外を向いてこその外交だ アメリカの優越、中国の台頭と日本」『論座』(朝日新聞社)2006年4月号、187-193頁。

>>未だに、この三本は我ながらよく書けた、と思っています。そしてあまりブレていない自分を確認できます(専門家としては本当はそれが普通なのですが)。(4)にある『神奈川大学評論』(2019)と併せ、より広い読者に読んでもらえる形でいつか直せればと。


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業績棚卸し (2) 東アジア秩序論 [雑感]

博士論文を出した後、指導教官には博論後最初の研究が大切だ、と言われました。
それで取り組んだのが東アジア秩序、アーキテクチャをめぐる議論です。多国間協力だけではなく、同盟、パートナーシップにも関心があったので、辞典項目や国際プロジェクトへのお誘いも多々いただきました。

主要業績
1.『冷戦後の東アジア秩序 秩序形成をめぐる各国の構想』勁草書房、2020年。

>>>研究チーム10名の成果に乗っかっただけですが、東アジア秩序について、冷戦期、冷戦後、そしてこれからに分析を与える議論を自分も載せることができました。書籍全体としてみると、まとまりのある議論になったと信じています。。。

書き散らかしたもの
1.「東アジアの安全保障秩序構想」木宮正史編『講座日本の安全保障VI 朝鮮半島・東アジア』岩波書店、2015年。
2.「書評:Evelyn Goh, The Struggle for Order: Hegemony, Hierarchy, and Transition in Post-Cold War East Asia」『アジア研究』60巻1号(2014年)、76-80頁。
3.「アジア太平洋地域における安全保障アーキテクチャと三層分析法」神保謙・東京財団アジア安全保障プロジェクト編『アジア太平洋の安全保障アーキテクチャ ―地域安全保障の三層構造―』日本評論社、2011年。
4.“The rise of China and the transformation of Asia-Pacific security architecture,” William T. Tow and Brendan Taylor (eds.), Contending Cooperation: Bilateralism, Multilateralism, and Asia-Pacific Security, London and New York: Routledge, 2013, pp.135-156.
5.“Security Arrangements in the Asia-Pacific: a Three-Tier Approach,” William T. Tow and Rikki Kerstain (eds.), Bilateral Perspectives on Regional Security: Australia, Japan and the Asia-Pacific Region, New York: Palgrave MacMillan, 2012, pp.214-240.
6.“Conceptualizing Three-Tier Approach to Analyze Security Arrangements in Asia-Pacific,” Security and Defense Studies Center Working Paper, Australian National University, December 2009.

>> 本当に書き散らかしていますね、、、。ただ、1の岩波安全保障シリーズに誘ってもらい、東アジア秩序を広く考える機会をいただいたことは自分にとってとても重要な転機になったと感じています。3のアーキテクチャ論は、3年間、尊敬する先輩たちに鍛えてもらう場になりました。4,5,6はANUでポスドクを行った時代、ボスのBill Towと色々と考えた残滓。East Asia Forumというブログに十数本、英文コラムを書き続けたのも良い経験になりました。2は本当に良い本なので、読んでほしくて紹介しました。

>>> ほかに、北朝鮮、朝鮮半島情勢には秩序論の観点から関心を持っています。思ったよりも事態が動かないので、アメリカの北朝鮮政策分析くらいしかできることはないのですが、今後、朝鮮半島をめぐる国際政治がどこに向かい、半島の平和体制がどうなるのか、それが秩序に与える影響は何か、というのが最大の関心です。文章は以下が自分の関心を示しています。「米朝首脳会談後の北東アジア:融和ムードと非核化の行方」『東亜』2018年9月号、20-32頁。

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業績棚卸し (1)米中関係、アメリカと中国、台湾 [雑感]

過去18年の研究歴で中核を占めるのはこの分野です。学会報告、研究報告は多数あるので省略。

主要業績
『共存の模索 アメリカと「二つの中国」の冷戦史』勁草書房,2015年,340頁。
>>>大幅に修正して収録した内容は査読誌、研究機関紀要に4本に分けて出版しました。)

翻訳
1. アーロン・フリードバーグ(佐橋亮・玉置敦彦監訳)『権威主義国家による挑戦』笹川平和財団、2018年。公開中
2. アーロン・フリードバーグ(佐橋亮監訳)『支配への競争:米中対立の構図とアジアの将来』日本評論社、2013年6月。(古賀慶、山口信治、石原雄介、井形彬と共訳)

>>> フリードバーグを書籍、長文報告書の二つ、翻訳しました。中国観も、望ましいと考える戦略オプションも別に同じではないのですが、日本ではアメリカの戦略論議への理解が足りないと感じ、こういう議論を紹介しなければと思い、膨大な時間を使いました。
 博士論文でキッシンジャー、ブレジンスキーなど対中関与の議論に慣れた自分へのリハビリにもなりました。なお戦略論議では、親交あるクリス・レインの議論を日本で紹介するのにも一役買いました(『外交』23号、レインへの解題)。

時評
『Janet』(2012-13)、『東亜』(2014-15)『アメリカと中国』(東京財団、2018-)
>>>アメリカ分析ということで、米中を超えるものもありますが、3,4ヶ月に一本はまとめることで、情報の整理分析を行っています。

最近の業績
1.「米中対立と日本:関与から戦略的競争に移行するアメリカを中心に」『国際問題』688号、2020年1・2月合併号(「2020年の国際社会と日本外交への諸課題」)。
2.「アメリカの対中国政策 ―関与・支援から競争・分離へ」宮本雄二・伊集院敦・日本経済研究センター編『技術覇権 米中激突の深層』日本経済新聞出版社、2020年。
3.「米中関係と危機:政治的意思による安定とその脆弱性」東大社研・保城広至編『国境を越える危機・外交と制度による対応―アジア太平洋と中東』東京大学出版会、2020年夏刊行予定。
4.「解説」H・R・マクマスター、マイケル・ピルズベリー、キショール・マブバニ、王輝耀(舩山むつみ訳)『China and the West: 中国はリベラルな国際秩序に対する脅威か?』楽工社、2020年

>>>1,2, 4トランプ政権の対中政策強硬化についての初歩的分析です。内容は重複するところがあるのですが、1がアカデミック、2は一般向け、かつ科学交流について簡単な説明、4は最も広い読者を想定した書籍への解説(2万4千字・・・)。
 3は今後につなげる研究で、三次にわたる台湾海峡危機の先行研究を整理し、またトランプ政権の対台湾政策についても簡単な分析を与えています。

今年の予定
1.「米国の台湾政策と総統選挙」日本台湾学会全国大会共通論題
2.「米中関係における信頼と不信の作用」別の学会報告
>>>オンラインでの学会開催になるとは思いますが。

今後、1980年代以降の米中関係がなぜ真の和解には失敗したのか、それでも関係を維持できたのか、という点、米中関係が東アジア秩序、国際秩序に与えてきた、そして与えていくインパクトという点をこの分野ではざっくりと考えています。
各論では、アメリカの対中技術規制、とりわけ人の流れの規制について関心を持ち始めています。

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業績棚卸し  [雑感]

東大は原則自宅での研究となりました。それなりに資料を自宅に持ち帰ったので、当面はなんとかなりそうですが、長期戦となると電子書籍を買い込むしかなさそうです。

さて、出張や通勤時間もなくなったことで生まれた余裕を使って、これまでの研究業績を棚卸しして整理しようと思い立ちました。自分の今後の研究計画を明確にするためです。

何かの間違いでこの頁を読んでくださった同業者、学生、国際政治に関心のある市民の方には何かしら意味があるかもしれません。ただ、電子化されているものは少ないので、その点はお詫びします。。。

分野ごとにページを分けます。

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