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震災と食糧問題 [記事紹介]

ダイアモンドの以下の記事は、内容のすべてに賛同するわけではないですが、面白い指摘が最初のほうにあります。著者は異色の元農水官僚、減反への反対などの論陣でかなり有名です。

山下一仁「食料危機は「想定外」か――震災後の物流途絶が示した日本の弱点と農政改革の待ったなし」
http://diamond.jp/articles/-/11848

東日本大震災は、食料の重要性を改めてわれわれに教えてくれた。物流が途絶した被災地では、食料品が十分に届かない状況がいまなお続いている。(略)今回の震災が示すように、日本で生じる食料危機とは、財布にお金があっても、物流が途絶して食料が手に入らないという事態である。(略)それは実際に今回の震災でも生じたし、何より想定すべき最も重大なケースは、日本周辺で軍事的紛争が起きてシーレーンが破壊され、海外から食料を積んだ船が日本に寄港しようとしても近づけない事態だ。(略)有事の際に、国内の物流が無傷で機能していたとしても、日本の農業には、現状では、国内の食料需要を満たす力はない。


北アフリカ情勢の一因が食糧価格の高騰にあったとも指摘されていますが、先進国日本の抱えている問題は全く違う、当然の指摘ですが、新興国に対する「買い負け」を強調する議論があるため、とても大事な指摘だと思います。

肝心なのは、重量ベースで99%を超える、日本にとっての真の大動脈「シーレーン(海上交通路)」の確保である、これはエネルギー、鉱産物に限らず食料も同じです。

Maritime-Interests12.jpg
※イメージ図:本文の内容との関係はありません。イメージです。

山下氏は続けて、

大分県の農産物がタイへの輸出で全ロット検査を要求されていることをあげ、政府や東電が謝罪し、補償すべき対象は全国的なものと主張します。同時に、どの国にも独自の基準を設ける権利がある、BSE問題の日本政府の立場を考えれば、他国を非科学的と批判するだけの姿勢では不十分、としています(末尾で、山下氏はだからこそ、科学的な根拠を持って丹念に説明を重ねることの重要性を強調しています。輸出が難しくなったからTPP推進派の根拠が崩れた、という反対派の主張に抗して・・)

この記事では、減反政策、民主党の現行の戸別保障制度への山下氏の持論も展開されているため、面白く読めると思います。


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