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米中と米朝 [雑感]

米中関係について。
5月以降、トランプは対中強硬派になったという言説があふれた。6月上旬に発売された中央公論の対談でも掲載してもらったが、それは明らかに間違った認識で、トランプは強硬派でもなんでもなく、6月に2回ペンス副大統領の中国演説を止めている。そもそもペンス的な価値観重視は対中強硬論の主軸でもない。

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ファーウェイ製品をアメリカ政府が使わせないという方針は今回も変わらない。トランプが言及したのは、輸出管理の対象も見直すということであり、驚くべき発表と本人が言っている。もちろんどのような形になるかは様子見だが、クドローNEC委員長が火消しに走るなかで述べている、EntityListに残しながら部分的に、またその都度許可するというやり方で進むのだろうか。あそこまで発表しておいた以上、それなりに技術レベルの高い部品も許可するというやりとりがあったのではないか。よく分からないが、BtoBとはいえ、状況はそのうち明確に数字に出てくるのだろう。

6月29日、トランプ記者会見直後にNHK(国際放送)にでて、4分ほど解説しました。ビデオ1分40秒後くらいからでています。メイクさんがきれいに白髪を隠してくれています笑

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/videos/20190701112644612/
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米朝関係について。
今回のトランプの行動は、たしかにディールメーカーですらない。ただの記念撮影。去年4月の南北首脳会談から、俺もあれやりたいという願望を叶えただけ。

ただ、昨年の東亜9月号に論文を掲載したとおり、構造的に対話枠組み(または対話のポーズ)の継続が米朝、また日本を除く周辺国の都合に(政治的に)合致するので、継続してしまう。問題は米国が北朝鮮の安全保障に資する何かを約束してしまうかどうか。それも論文では少し触れた。

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非核化の課題については、実務者協議の行方も含めて、秋山先生が今日の毎日新聞、またこれまでも国問研等で議論しているのが最も的確。ただ、そのような、まさに「実務」の観点と、「政治」の観点は異なる。政治重視の外交取引が何をもたらすのか、懸念は尽きないと思う。

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米中も米朝も、衝撃の展開ばかりで、これを受けて日本政府大丈夫か、という政治的言説があふれているが、無意味だと思う。おそらくアメリカ政府からは必要な程度の事前通告は受けているのだろうし、それ以上は、これが大阪であろうが、どこであろうが、外国政府として影響を大きく与えられるものではない。

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