SSブログ

日韓GSOMIAなど [雑感]

韓国・文政権によるGSOMIA更新拒否について、以下に書きました。決定から二四時間で原稿をだせたのは編集部のおかげです。
https://diamond.jp/articles/-/212374

Yahooにも転載され、もの凄く読まれているようです。いや本文が読まれているのか、見出しだけなのか(ヤフトピなので)、ものの一時間で300のコメントが付いていました・・・。

ほかに日本語と英語で2つほどインタビューがあったので、来週頭までには出るのかも。

この決定前から進んでいた話ですが、久しぶりにNHK日曜討論にでます。
https://www4.nhk.or.jp/touron/x/2019-08-25/21/10643/1543581/

いずれにせよ、アメリカ外交や同盟、国際秩序の研究者としての分析、見解を真面目に分析することを心がけています。(そもそも私はかなり韓国文化フリークですし、ソウルに頻繁に通っています。)

また、ダイアモンドの記事の末尾でも書いたように、日本政府の対韓国輸出管理の見直しのやり方については反省すべきところもあると思っています(世論戦でも負け気味でした)。

大局をみれば日米韓の連携、賢明な対中国戦略は地域の安定と繁栄のために重要です。その視点を忘れずに、目の前のペーパーたち(9月中に本当に全部終わるのだろうか)と向かい合いたいと思います。

冷戦後の国際秩序とアメリカ [雑感]

元職場の雑誌、神奈川大学評論93号に、「冷戦後の国際秩序とアメリカ」という小文(12000字)を寄せました。ベルリンの壁崩壊から30年という特集です。

短い字数で何十年も論じろ、と言う仕事が最近多いのですが、紙幅が限られている中では切り口を設定して一気に論じるしかない、との結論にいたりました。この小文も、秩序の階層性(アメリカの圧倒的パワー)、中国とロシアの挑戦、そして同盟国との距離感という観点でまとめています。

的場、小森田、下斗米の3名が鼎談しています。刑訴の白鳥先生(当時ニュースに必ず出た)によるゴーン事件と日本の刑事裁判への問題提起も面白いかと。以上の先生はすべて学内(東大や北大、法政の名誉教授ですが)。ほかの著者は学外の著名な方ばかりです。

普通に書店でも入手できますし、図書館でもコピーを取り寄せられるかもという感じの雑誌です。

EBA5eXnUEAIktOM.jpeg

(耕論)電撃会談、政治ショーか 佐橋亮さん、町山智浩さん、李泳采さん [雑感]

今朝の朝日新聞朝刊にインタビューを載せてもらいました。

ポイントは、トランプのパフォーマンスを米国民も見透かしている、だが大統領の独断専行は構造的に止められない、段階的非核化に流れつつある、米朝の相互不信の克服がカギ。(紙面の見出しで、「基準なき交渉、不信感増幅」とついていますが、「米朝の不信除去がカギ」が私の立場です。今不信感は増幅していないとも思います。)

交渉そのものが最悪ではなく、交渉再開ないなかでも漫然と融和ムードの中で北が核ミサイル開発とともに生存し、再び緊張高まるのが懸念であり、交渉が意味あるロードマップを非核化と平和体制で引けるよう、周辺国の努力必要とも。

北朝鮮でもイランでもトランプは戦争という手段を基本的には好まない、とも。

朝日の耕論は平易な言葉を求めるので、かなりストレートな言い方が多くなりますが、より広い読者に読まれればと。これで3回目。ありがとうございます。


米中と米朝 [雑感]

米中関係について。
5月以降、トランプは対中強硬派になったという言説があふれた。6月上旬に発売された中央公論の対談でも掲載してもらったが、それは明らかに間違った認識で、トランプは強硬派でもなんでもなく、6月に2回ペンス副大統領の中国演説を止めている。そもそもペンス的な価値観重視は対中強硬論の主軸でもない。

D-WnIYPUcAEyDf_.jpg-large.jpeg

ファーウェイ製品をアメリカ政府が使わせないという方針は今回も変わらない。トランプが言及したのは、輸出管理の対象も見直すということであり、驚くべき発表と本人が言っている。もちろんどのような形になるかは様子見だが、クドローNEC委員長が火消しに走るなかで述べている、EntityListに残しながら部分的に、またその都度許可するというやり方で進むのだろうか。あそこまで発表しておいた以上、それなりに技術レベルの高い部品も許可するというやりとりがあったのではないか。よく分からないが、BtoBとはいえ、状況はそのうち明確に数字に出てくるのだろう。

6月29日、トランプ記者会見直後にNHK(国際放送)にでて、4分ほど解説しました。ビデオ1分40秒後くらいからでています。メイクさんがきれいに白髪を隠してくれています笑

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/videos/20190701112644612/
190629.jpg

---
米朝関係について。
今回のトランプの行動は、たしかにディールメーカーですらない。ただの記念撮影。去年4月の南北首脳会談から、俺もあれやりたいという願望を叶えただけ。

ただ、昨年の東亜9月号に論文を掲載したとおり、構造的に対話枠組み(または対話のポーズ)の継続が米朝、また日本を除く周辺国の都合に(政治的に)合致するので、継続してしまう。問題は米国が北朝鮮の安全保障に資する何かを約束してしまうかどうか。それも論文では少し触れた。

D-WoYfSUYAACAd2.jpg-large.jpeg

非核化の課題については、実務者協議の行方も含めて、秋山先生が今日の毎日新聞、またこれまでも国問研等で議論しているのが最も的確。ただ、そのような、まさに「実務」の観点と、「政治」の観点は異なる。政治重視の外交取引が何をもたらすのか、懸念は尽きないと思う。

---

米中も米朝も、衝撃の展開ばかりで、これを受けて日本政府大丈夫か、という政治的言説があふれているが、無意味だと思う。おそらくアメリカ政府からは必要な程度の事前通告は受けているのだろうし、それ以上は、これが大阪であろうが、どこであろうが、外国政府として影響を大きく与えられるものではない。

中央公論で対談 [雑感]

本日6月10日発売の中央公論7月号で、川島真先生との米中関係に関する対談が13頁にわたり掲載されています。
D8qU6j_XYAAazOI.jpg-large.jpeg

同じ特集には、最近、中国経済についてS級B級国家論というとても面白い編書を出された高口さん、またアメリカの国防政策を語らせたら右に出る者がいない森聡さんがそれぞれ10頁の論文を掲載しています。

米中関係について、ここまでまとまった量で大きな視点から具体論まで情報が得られるのは月刊誌ならではだと思います。

週刊東洋経済(6月1日号)でも、ファーウェイへの輸出規制に関する4頁の冒頭記事があり、杉本記者に引用頂きました。杉本記者はファーウェイについて電子書籍も同社からだされており、ファーウェイについて重要な文献のひとつです。

先端技術分野の安全保障化ともいえる、アメリカと中国のハイテク企業・技術をめぐる闘争は容易にはほどけません。それは中国製品の流入を阻止するだけでなく、中国企業への技術、部品の流入すら阻止する形で展開しています。グローバリゼーションの反転を引きおこそうとするこの動きを、私たちは分離(ディカップリング論)とも呼んでいます。

外務省からの補助金を受けて、藤原先生を代表として、東大にも研究プロジェクトが設けられました(Websiteはまだ更新していませんが)。お願いして参集してくれた10名の調査研究チーム、そしてそれを支えるベテランの先生方は、おそらく最強チームだと思います。不肖、私が調査研究チームの幹事を務めます。始動したばかりで、これから徐々に研究が始まるわけですが、今から研究の展開にドキドキしています(経済的にはロクでもない事態ですが。)

この一方で気になるのは、台湾であり、香港です。台湾については、トランプ政権下の台湾へのアプローチを中心に原稿を書きました。アメリカの研究機関とも政策提言的なものを別途書き、夏頃にはでると思います。
香港が今直面している問題は、一国二制度の根幹を揺るがす、または中国の統治の正体を改めて白日の下にさらすものです。100万人が集うデモはその切実さを示します。アジアの民主主義は今危機に瀕しています。

アメリカのアジア政策、中国政策は威勢の良いだけの意見も増えてきました。しかし、安全保障の論理と経済の論理をどのように調和させるかの姿勢を忘れないで欲しいですし、同時に、価値観の問題には分かりやすい問題だけでなく、本質的な問題意識から迫ってほしいものです。

古巣スタンフォード大学での報告など [雑感]

スタンフォードに久しぶりに戻り、東アジア秩序の将来について考えるパネルで報告しました。

巨人ジム・フィアロン教授、米中関係の代表的研究者トム・クリステンセン教授、さらに佐々江前駐米大使と一緒で、さらに少し頑張って、まだまだ煮詰まっていないアイディアを発表したので、冷や汗をかきながらのプレゼンをしました。

IMG_2659 2.jpg

時間が足りず、事前の原稿を用意して練習していても言いたいことを十分に表現できなかったので悔いが残りますが、パネリストに加え、クラズナー教授やドン・エマーソン教授、星教授はじめ多くのコメントをもらえ、とても充実した成果になりました。

IMG_2661.jpg

最近強く感じるのは、コメントのありがたさ。自分ひとりで研究をしていても、色々とアイディアは煮詰まるし、また考えていることの見せ方についても独りよがりになります。話すことで優れた研究者や実務家からコメントを得られることはとても大切です。

実のところ、こういった会議でも、もっと当たり障りのないプレゼンをした方が楽なのですが、挑戦することでこそ研究者としての成果につながりますし、参加者が良いときにこそ挑戦をするようにしています。今回は、少し豪華すぎるメンバーだったので、かなり度胸がいりましたが。。。

40を越えて、ある意味で再び研究者としてのスタートを切り直したところもあるので(研究に専念せい、という環境に置かれたという意味で)、今後も研究成果のアウトプットを常に念頭に置いて臨みたいと思います。

---
出張中にトランプ政権は新たな対中関税を発動。直前に共同通信のインタビューを収録したので、それが11日の朝刊から地方紙に掲載されています。母の郷里の福井新聞にも載ったようで、さっそく親戚から送られてきました。

帰国後は、月刊誌の対談、そしてNHK(国際放送)でのスタジオ出演を通じて、さらに米中関係を解説しています。
IMG_2666.jpg

米中関係の現状分析(過去数年を射程)は、将来的に事例研究として活用する前提で、積極的に続けています。北朝鮮問題は、米中関係のような国家の接近・和解、地域秩序変動の事例になるかと思い、これも過去数年、現状分析などをしてきましたが、今の流れをみると、よい事例にならない気がしてきました。。。

研究者の時間は、どんなに裁量労働制のなかで頑張っても有限。さらに働き方改革のなかで、雰囲気的には時間も上限を意識しろという方向のようです。(研究大国として復活したいという政策と矛盾しているように感じますが、きっと雑用等の時間を国家が減らしてくれるのでしょう。)そう考えると、現状に関係した仕事も、研究のアウトプットとの関係で取捨選択がより一層必要になってくると感じます。

米中関係について アメリカと中国(5)一枚岩ではない対中強硬論 [雑感]

東京財団の連載を更新しました。
アメリカと中国(5)一枚岩ではない対中強硬論

今回は少しプロ用かも知れません。
ただ、中国への強硬一色の雰囲気だけではなく、その具体的な展開については様々な意見があることを知らしめる必要があると思い、筆を執りました。

民主党系の引用が多いのはたまたまで、政権や人間関係の配慮から発言しづらい共和党系の友人たちを引用しなかっただけで、彼らも一枚岩ではありません。

長年研究をともにし、この3月も訪米でご一緒した森さんも、同じブランズ&クーパー論文を引用して議論しています。あわせて読んで頂ければと思います。(私の方が少し大胆に色分けをしています。)
特集・米中“新冷戦” (3)米国の対中競争路線:2つの「戦略」が水面下でせめぎあい

着任しました [雑感]

4月1日より東京大学東洋文化研究所に着任しました。
今後も東アジアの国際関係、とりわけ大国政治や秩序論を意識しながら研究して参ります。

研究室の引っ越し [雑感]

9年間過ごした、六角橋の地を離れることになりました。

着任の時にあった感情は、「教えたい」という気持ちと、(正直に言えば)「いつまでここにいるのか」というものでした。特任の助教ポストも3年に渡っていたので、博士号も取ったし、もう教えたい!という気持ちが強くなっていました。同時に、神奈川に決まったときは、(東京・城北出身なので土地勘がなく)横浜?箱根駅伝?という感じでした。

誰一人知り合いもいないなか、4月1日の辞令交付式に出席しました。その後親友になる同期二人が隣に座っていましたが、逆隣には総務省の元官僚、その横には東大を定年された先生(学生時代にお会いしたことはありませんでした)が座っており、5名で法学部の新任教員でした。

その後はあっという間の9年間。ちょうど5年目に在外研究(スタンフォード大学)に出して頂いたので、それを挟んで4年ずつ。

学生に恵まれました。

最初、小難しい、カタカナと概念説明だらけの講義をしました。
2週ほど経ったところで、比較的前に座っていた、ある学生が「全くわかんない」と独りつぶやきます。それを聞いて、もの凄いショックを受け、大反省。

連休を使って、一生懸命考えて、講義を一から組み直しました。

結果として、その初年度から、わかりやすい、国際関係に関心を持って勉強するようになったなど、嬉しい声を学生からもらえるようになりました。2010年度の学生授業評価の紙は今でも大切にとってあります。(最初は難しかったが途中からガラッと変わった、というコメントも残ってます。よく見ていますね。ありがとう。)

ゼミ生も通算で8期。みんなスポンジのような吸収力と、前向きで明るい姿勢をもった良い学生たちばかりです。

研究者の多くは大学教師を兼ねます。教師としての訓練をまともに受けたことのない、若手研究者が教師になるというのはそれだけで大変なことですが、大学では他の教員が教室の後ろに立って指導するようなこともありませんので、結局は学生に育ててもらうしかありません。

最近色々なところで講演を行い、一般向けエッセイも書いていますが、少しでも分かりやすい物であったとすれば、それは学生に育ててもらった、ということだと思います。最初の一学生のつぶやき、そして日常の講義やゼミでの学生とのやりとりや、頂くコメントのなかで、伝えるとは何か、授業とは、大学教師の役割とは何か、考えて実践してきました。

この9年間、ほかにも青学、慶応、ICU、一橋、上智、広大、東大でコマを担当しましたが、すべては神奈川での経験を活かしてきたつもりです。何千人もの学生に、少しでも何かを残せていれば、教師として幸福です。

研究でも、色々あっても成果を少しずつ発表することができるようになり、助成をもらって単著もだせました。自分としては分析枠組みのはっきりした本を出すべきという信念があり、結果として毀誉褒貶ある本になったのかもしれませんが、国際政治史の教科書や、大家の単著にも取り上げてもらい、出せたことは大きな喜びです。

支えてくれる人も多く、自分の中で充実した日々を送ってきました。幸運なことに、神奈川は職員の方が教務も研究もしっかり支えてくれます。教員だから確認すべき点や考えるべきことに専念できました。

そのようなところで、秋から冬に異動の話がトントン拍子に進み、悩む時間もほとんどないままに、転出することになりました。

9年経っての気持ちは、「もうここにいれないのか」、そして同時に「研究をしたい」。もっと読みたい、書きたいという気持ちは強まっていたのは事実です。寂しいですが、教師としての充実した9年を踏まえて、今はもう一度、研究に専念できる環境に戻ろうと思います。機会を与えられたことに感謝して、自分には過分な研究環境ですが、一所懸命に取り組もうと思います。

先週には、ゼミ生が「先生も神奈川大学を卒業です」と、自分たちの卒業と兼ねた夕食会を開いてくれました。もらった手作りのアルバムもブログかSNSにあげて欲しいと言われましたが、恥ずかしいのでやめておきます(写真も載っているしね)。君たちの後輩ゼミ生、あと2年間、しっかりと教えますね。

多くの人に恵まれて、素晴らしい時間を過ごせました。皆さん、ありがとう。

IMG_2510.jpg

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。