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共通戦略目標について [記事紹介]

原稿を書いてから出すまでに相当に時間がかかってしまいましたが、少し時間をおいても参照可能なものとして、6月下旬の日米共通戦略目標を中心に、一本出しました。

米国・東西センタ-(EWC)の購読者は議会に多く、この手のもののなかでは魅力的な媒体とは言えます。
またこの原稿は、豪州、DC等の別組織も転載する予定です。

"New Common Strategic Objectives for the US-Japan Alliance: Continuing Quiet Transformation"
Asia Pacific Bulletin, no.125.

http://www.eastwestcenter.org/fileadmin/stored/pdfs/APB125_4.pdf


総理の原稿 [記事紹介]

「がっかり」した本。
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総理の原稿、という本です。
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/X/0237250.html

ある意味衝撃的な内容で、政権交代後の基本方針、所信表明演説にはいっている多くのフレーズが、いかに「政治(+ブレーン)主導」でこしらえられているか、よくわかります。

外交の部分も参りますが、国内政治に関しても、

その年の夏、松井さんに会ったあとに、僕はフランスにちょっと仕事で行っていたんです。その時に、友人の国立オデオン劇場の芸術監督に、「政府の仕事をちょっと手伝うかもしれない」とカフェで話していたら、「じゃ、ぜひ同性愛の結婚を認めてくれ。俺は日本が大好きだから、認めてくれたら俺は日本に帰化してもいいんだけどな」というから、「ふうん」と聞いていたんだけれども、それを思い出した。書いてみて、やっぱり採用されなかったんですけどね。


というノリで(この部分は最終的には削除されます)演説内容で提案されている状況が対談で回顧されています。

読んで、つい気を失いそうになりました。(内容に個人的に賛否があるわけではありません。)

政策方針と、スピーチライターとしての演説の表現の修正はまったくの別物のはずです。政策方針は、それこそ政府のなかで過去の政策の評価を慎重にしたうえで、じっくりと議論を積み重ね、定めていくべきものです。スピーチライティングは、政策方針を首相や閣僚(および政務三役)たる政治家及び政府高官と十分に固めていくなかで、その議論を踏まえて提案されるべきものです。ライターが過度に踏み込むことは、彼の上司たる政治家に結果的に面倒をかけることにもなります。

なにより重要なことは、(民主党が言っていたように)国民主権というならば(よけいに)、所信表明演説にせよ、施政方針演説にせよ、またいかなる政策にせよ、それらは社会に存在する価値観を反映すべきものです。価値観にかかわる問題―それは同性婚の問題以外ではたとえば死生観に関する問題などがあるでしょうか―を、これまで日本では政治とある程度切り離された形で、有識者、市民たちの対話のなかで議論を進展させてきたと思います。慎重な議論のあとに、選択すべき局面で世論が割れるのであれば政治決断、または選挙ということになるでしょう。たとえば、臓器移植の問題も、日本人は長年にわたって悩み続け、少しずつ議論を前進させてきたと思います、それが患者の観点に立てば遅いとの誹りを免れないにせよ、拙速に結論を急げば社会の分裂を招きかねないものです。そして、総理の演説とは個人の思いをぶつける、立会演説会ではなく、この国を率いる人物の指針であり、そこで成熟していない議論をもちだすことは、価値観の押しつけになりかねないのです。

重要なことは、根本的な価値観の問題とは、首相でも決められる問題ではないのです。それをライターが提案して官邸で演説に入れるかどうか議論していたということは、当時の民主党政権が政治の役割を選挙に勝てばなんでも決められる、と誤解していることに起因しています。政治の役割は、社会に存在する価値観を一方的に決められるほどの存在ではありません。リベラルそうな民主党に投票しているのだから、これくらいやっていいだろう、そんなおごりがみえます。

仕分けのときに感じた、民主党政権の「「政治」主導」の過ちと同じ問題が演説作成でもあったとさえ思えます。政府トップとしての首相としての演説は重い、そして政治家個人としての演説とは異なる。

(政治家として個人的な思いをぶつけて、国を動かす判断をするという、「その時」も否定はしませんが、それはよほど限定された時です。普天間問題では、むしろその演説が必要だったと思います。当時も書きましたが、あれほどの国論の分裂を招くアジェンダ・セッティングがされていたにもかかわらず、最後まで何をしたいのかはっきりしなかったため)。

あまりにやる気がなくなりますが、ハト政権に関してはじっくりと言いたいことが山のようにあるので、一つずつ論文を書いていこうかとも思っています。

あの時代への反省がなければ日本政治の未来はないと思います。

しかし、二人の政権中枢にいた人物の回顧としては興味深い内容です。「敗戦」をみとめたうえで、政治のあるべき姿を論じた、ひとつの重要資料だと思います。

お買い求めになられてもよいかと思います。感じ方はひとそれぞれです

日本外交・「有識者」アンケート [記事紹介]

昨日は、朝から2時間、北朝鮮問題と日米同盟という共著の出版に際してのセミナー(著者なので)、1時間で四谷から横浜に駆け足で行き、ゼミ、講義、講義の3コマ。

さすがに、これはきつい。この日一日のための準備だけでも週末がつぶれました。

そして、セミナーでは「(検証つきの核放棄プロセスがすぐに達成できそうにない以上)六カ国協議は『茶番』ではないか」という深遠な問いが何度も繰り返される。 

たしかに効果は薄いかもしれませんが、別にそれが抑止や不測の事態への備えと矛盾するわけではなく同時に進めればよいのであって、北の核開発を助長するわけでもなければ、そして少しの成果が得られる望みがあるとすれば、六カ国協議は今後も残しておく必要がある、とは思います。なお、現時点では、六カ国協議の早期再開よりは、南北、米朝、日朝といったバイ(二カ国)協議の模索が重要だと思います。(中国をけん制するためにも。まあ、質問者は交渉一切を否定的にとらえていたような気もしますが)

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国際問題研究所より、日本外交の「有識者」アンケートの結果がでています。
http://www2.jiia.or.jp/kokusaimondai_archive/2010/2011-04_005.pdf

問いが単純であるからこそ、バリエーションのある豊かな回答が寄せられています。

1.今後の国際情勢において何が最も重要な問題になると考えますか? 2.日本外交の今後の方向性はいかにあるべきと考えますか? 3.日本の外交・対外政策決定過程に関し、現在の仕組みについての評価および今後のあるべき姿をお示しください。


すべてを読むには時間がかかるため、回答を読んで、という高原教授のコメントが要領よくポイントをまとめているので、必読です。
http://www2.jiia.or.jp/kokusaimondai_archive/2010/2011-04_006.pdf

中国の軍事的な台頭、米中の勢力バランスと両国間関係の行方、そして東アジアさらには世界全体において協調的な国際関係を維持していくための新しい枠組みの構築を挙げる回答が多かった。(略) 今後の中国にとって最も重要な問題のひとつは政治の改革である。それが平和裏に、安定軌道をたどって行なわれるかどうかは、世界に大きな影響を与えるであろう。それを指摘する人が少なかった(略) 中国問題に関心が集まったのに比べて、朝鮮半島問題や、テロや大量破壊兵器、格差拡大や水不足、気候変動などの非伝統的脅威を挙げる回答が比較的少なかった


このアンケートに限らないのですが、有識者アンケートは、一般国民への調査と比べて、どれほど類似性があるかまたは違いがあるかという見方をすると面白いです。

第一問に関しては、あまり一般と異ならない結果が得られているような気がします。

言うまでもなく、昨年の尖閣問題を経て、日本国民の間での対中認識は劇的に悪化しています。

マスコミもやっていますが、内閣府調査でもそれは顕著です。
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なお、4月に公表された、13年1月実施の社会意識調査では、外交への問題意識が増加しています。
北朝鮮問題や多くの安全保障上の課題も作用しているとは思いますが、やはり中国ファクターは大きいのでしょうね(結び付ける材料はこの調査ではありません)。

(5) 悪い方向に向かっている分野  現在の日本の状況について,悪い方向に向かっていると思われるのは,どのような分野か聞いたところ,「景気」を挙げた者の割合が57.7%,「国の財政」を挙げた者の割合が55.7%と高く,以下,「雇用・労働条件」(52.3%),「外交」(46.3%)などの順となっている。(複数回答,上位4項目)  前回の調査結果と比較してみると,「景気」(63.1%→57.7%),「雇用・労働条件」(56.5%→52.3%)を挙げた者の割合が低下し,「国の財政」(47.6%→55.7%),「外交」(28.3%→46.3%)を挙げた者の割合が上昇している。  都市規模別に見ると,「外交」を挙げた者の割合は大都市,中都市で高くなっている。  性別に見ると,「国の財政」,「外交」を挙げた者の割合は男性で高くなっている。 内閣府「社会意識に関する世論調査」 http://www8.cao.go.jp/survey/


アンケートに戻ります。
興味深い指摘が続きます。

日本外交の方向性はかくあるべしという回答のなかで最も多かったのは日米関係の強化、再活性化、あるいは日米同盟の維持であり、それに直接、間接に言及した回答は約4 割5 分に上った。いささか乱暴にこれらの回答を分類すれば、中国あるいはロシアなどの大陸勢力とのバランスを重視する立場と、日米関係を基軸としながら、東アジア諸国との二国間関係ないし多国間枠組みを発展させることを強調する考えに分けられる。そして回答の比率から言えば、後者の立場がかなり多かった。特に、東アジアあるいはアジアとの多角的な協力関係を発展させ、地域の新しい秩序の構築を目指すべきだとする回答は全体の約4分の1に達した


「回答のなかで具体的に提案される国家像や国家目標はさまざまである。」という段落も面白いところです。

また、対外政策過程に関して、政官連携の強化、国家安全保障会議の設立、という回答が多かったということは、政治任用のことも想定されているのでしょうか。しかし、そのためには、政治の安定に加え、家庭と家計の不安定を顧みず政治家と官僚のために一肌脱ごうという人物が必要なのですが、果たして、この日本にどこまでそのような人物はいるのか。いや、実は案外いるのかもしれない。この点はよくわかりません。

なお、最後に高原先生は以下を指摘します。
意外だったのは、広報の強化を訴えた回答が2 件しかなかった点である。「公衆外交」ないし「パブリック・ディプロマシー」という言葉を使った回答はひとつもなかった。日本が外交能力を高め、かつソフトパワーを強めるうえで、内外に向けた広報体制の強化は欠かせない重大事ではないだろうか。


日本の「有識者」の方々には是非、この点に関してもっと理解を求めたいところです。。。

北朝鮮の変化に備える [記事紹介]

北朝鮮関係で、話題の研究報告がKEIよりでました。
「ネルソン・レポート」でも、米国と同盟国の軍、情報関係者も入っているチームの構成にもかかわらず、現在のアメリカ政府の方針と真っ向から異なる政策を打ち出している、と驚きをもって紹介されています。

Michael J. Mazarr & the Study Group on North Korean Futures, "Preparing for Change in North Korea: Shifting Out of Neutral" KEI Academic Paper Series, vol.6, no.3 (April 2011).
http://www.keia.org/Events/APS/2011/Mazarr.pdf

主査のマイケル・マザール博士は、30代でのシンクタンク理事長などを経て、国防大学教授。7,8年前、大学院にいたころ、2回ほど国防大の学生(佐官クラス)の研修旅行の引率として本郷のアメリカ政治のゼミでお会いして、そのあともDCに行った際に将来の相談に乗っていただいた、そんな思い出があります。

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全てを紹介することは到底できませんが、興味深い点をいくつか。

・北朝鮮の現政権のしぶとさは、外貨の獲得、(外国からの)人道支援、根強いナショナリズム、支配者層にある利害関係の共有、市場における新たな展開、シンボルとしての金一族、恐怖の7点による。北朝鮮のシステムは既に、正統な統治体としては融解し始めているが、恐怖と個人的な(利害に結びついた)忠誠心が支えになっている。

・北朝鮮の外貨獲得は非合法ビジネスに多くを拠っているが、支配者層の繁栄と武器購入を支えている。

・(政権の統制しようとする努力にもかかわらず)闇経済や政府公認の民間企業が成長し、個別の利害を重視する社会的階層が登場しつつある。それは中流の特徴を示しつつある

続けて、、、
in the long run, members of this middle elite may become a crucial group during any transition scenario. As of now we know little about them, but their mere existence suggests possibilities for U.S. and South Korean strategy.(p.3) 長期的には、これら中流の支配層はいかなる変化のシナリオにおいても重要なグループになるだろう。現在のところ、我々が知りえるところは少ないが、彼らの存在はアメリカと韓国の戦略に可能性を提起している。


この報告書の肝はここにあります。北朝鮮内部では必ずしも金一族とのCrony Capitalismにならない形で中産階級が生まれつつあるということ。これに続けて「レジーム(政治体制)の変容のためのウイルスは、既に北朝鮮の血脈に」という表現まで出てきます。

海外より買いつけられた30万台の携帯電話によって「かつてないほどに情報が社会にいきわたっている(penetrating)」とも。続く項目でも、これら新しい中流層は金ファミリーと距離を置きながら市場より多くの利益を上げており、従来の支配者層を脅かしているとも。

これまでのアメリカの政策に対して、北朝鮮を「一枚岩」とみるべきではない、と強く迫っているのです。

肝心な7頁以下の提言、最悪の事態に備えるための米韓での準備、日本や中国も想定していると思われる、不測の事態への対応に簡単に触れた後、

Part IIIとして、上述の北朝鮮内部情勢の分析を踏まえ、私の言葉をあえて使えば「浸透」作戦ともいえる、政策を提案しています。情報の流入を社会的、経済的に支えることで中間層に影響を与えるべし、ということです。

また、個別の政府関係者への働きかけ、脱北者ネットワークも活用の道が増えているとしています。外界との接触を増やす、海外にでてきた北朝鮮人への働きかけを強める(情報を流入させるため)、技術者、科学者の交流も進めるべき、ラジオも、と続いていきます。

北の体制崩壊を歓迎することも、力づくで実行することも難しいなか、さらに交渉も根本的なところで問題解決に至るには難しいとすれば、抑止と不測の事態への備えを強める、というリアリスティックな対応に加え、より中期的なアプローチとしてこのような見解がでてくるのは、ある意味で当然です。冷戦期の対ソ、対中ではいくらでもあった発想です(韓国的な太陽政策との違いは読めばわかります。たとえば、北への投資についてはこの報告書は否定的に読めます。)

提言の前提となっている、北朝鮮内部の情勢分析に疑問を持つ方も多いでしょう。私も素直には信じられません。しかし、このチームが根拠なく、そこまでいうのかと。(ただし、この報告書は北朝鮮軍内部が指導者交代で割れているとは一切言っていません。また、これら中間層への働きかけも中長期的な変化の展開の中で、効果を持つ、という議論の仕方です。)

議論の進め方が丁寧で、プロの仕事を感じる報告書でした。休日の朝一番に読む内容ではなかったとは思いますが。[ふらふら]

震災と食糧問題 [記事紹介]

ダイアモンドの以下の記事は、内容のすべてに賛同するわけではないですが、面白い指摘が最初のほうにあります。著者は異色の元農水官僚、減反への反対などの論陣でかなり有名です。

山下一仁「食料危機は「想定外」か――震災後の物流途絶が示した日本の弱点と農政改革の待ったなし」
http://diamond.jp/articles/-/11848

東日本大震災は、食料の重要性を改めてわれわれに教えてくれた。物流が途絶した被災地では、食料品が十分に届かない状況がいまなお続いている。(略)今回の震災が示すように、日本で生じる食料危機とは、財布にお金があっても、物流が途絶して食料が手に入らないという事態である。(略)それは実際に今回の震災でも生じたし、何より想定すべき最も重大なケースは、日本周辺で軍事的紛争が起きてシーレーンが破壊され、海外から食料を積んだ船が日本に寄港しようとしても近づけない事態だ。(略)有事の際に、国内の物流が無傷で機能していたとしても、日本の農業には、現状では、国内の食料需要を満たす力はない。


北アフリカ情勢の一因が食糧価格の高騰にあったとも指摘されていますが、先進国日本の抱えている問題は全く違う、当然の指摘ですが、新興国に対する「買い負け」を強調する議論があるため、とても大事な指摘だと思います。

肝心なのは、重量ベースで99%を超える、日本にとっての真の大動脈「シーレーン(海上交通路)」の確保である、これはエネルギー、鉱産物に限らず食料も同じです。

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※イメージ図:本文の内容との関係はありません。イメージです。

山下氏は続けて、

大分県の農産物がタイへの輸出で全ロット検査を要求されていることをあげ、政府や東電が謝罪し、補償すべき対象は全国的なものと主張します。同時に、どの国にも独自の基準を設ける権利がある、BSE問題の日本政府の立場を考えれば、他国を非科学的と批判するだけの姿勢では不十分、としています(末尾で、山下氏はだからこそ、科学的な根拠を持って丹念に説明を重ねることの重要性を強調しています。輸出が難しくなったからTPP推進派の根拠が崩れた、という反対派の主張に抗して・・)

この記事では、減反政策、民主党の現行の戸別保障制度への山下氏の持論も展開されているため、面白く読めると思います。


アメリカ軍事介入の判断基準とは [記事紹介]

ワシントンポストに掲載された、キッシンジャー・ベーカー両氏によるオピニオンの仮訳を作成しました。
私個人が勉強のために作成したものであり、引用は禁止します。参考までにお読みください。
また訳の間違いに気付かれた場合は、私まで連絡をお願いします。助かります。

原文は、
Grounds for U.S. military intervention
http://www.washingtonpost.com/opinions/grounds-for-us-military-intervention/2011/04/07/AFDqX03C_story.html

アメリカ軍事介入の判断基準とは
ヘンリー・キッシンジャー、ジェームズ・ベーカー三世
ワシントン・ポスト 2011年4月8日

アラブ世界を席巻している変化は、合衆国初期における論争の最も重要な地点に我々を引きもどしている。アメリカの軍事力は理想主義的な理由のために使われるべきかのか、それとも死活的な国益の表現であるべきなのか?それとも、その両方なのか?四名の合衆国大統領に仕え、数多くの国際的な危機に直面してきた我々両名は、「理想主義」と「現実主義」のあいだでの選択を誤ったものだとみている。理想が具体的な状況に適用されなければならないように、現実主義も我々の国家にとっての価値が意味をなす文脈を必要とする。理想主義と現実主義を分けてしまうことは、政策を危ういものとしてしまう。

多くのアメリカ人のように我々も、アメリカ合衆国は民主主義と人権を、常に政治的に、経済的に、そして外交的に支持すべきだと信ずる。我々は、冷戦においてソ連帝国の囚人となった人々のために自由を勝ち取ったのだ。アメリカに住む我々が保持する価値とは、人類の苦しみを和らげるために奉仕するように我々を駆り立てる。しかし、一般的な原則として、アメリカが軍事的に行動することは、アメリカの国益がかかっているときに限るべきだ。このようなアプローチは「実利主義的な理想主義」と題するのが適切だろう。

議論の余地はあるが、リビアはこのルールの例外だ。リビアにはアメリカにとっての死活的な国益は存在していなかったが、人道的な見地からの限定的な軍事介入は正当化できるものだ。カダフィの軍隊は既に市民の間に深刻な被害をもたらしていたし、ベンガジを制圧する間際に来ていた。住民への悲惨な結果をもたらす可能性があった。カダフィが率いる国軍は弱体だ。また、彼はリビア国内でも人気がなく、友好国も特にもたない。国連安保理、アラブ連合も行動を求めていた。

それにもかかわらず、理想主義的な目標は、アメリカの対外政策において軍事力を行使する唯一の動機になるべきではない。アメリカは世界の警察官にはなれないし、今後生じるであろう人道への挑戦のすべてに軍事力を行使することもできない。どこで我々は踏みとどまるのだろうか。シリア、イエメン、アルジェリア、イラン?アメリカにとっての強力な同盟国であってもすべての価値を共有しているとは言えない、バーレーンやモロッコ、サウジアラビアの場合はどうだろう?たとえば、象牙海岸の国家における人道的な侵害の場合は?

北アフリカと中東において事態が進展しつつあるなかで、各国を一つずつ検討することは急務だ。その目的に資するために、いくつかのガイドラインを提示したい。

第一に、軍事力を行使する際には、明確で特定化された目標を立てる必要がある。市民を保護するという目的は、我々の価値に整合的だ。しかし、そのような努力を限定的なものにとどめておくことは本質的に困難を伴う。人道的介入の必要は、人々を彼らの政府から、または政府の崩壊から保護する必要から、まず間違いなく生じる。これは、体制転換や国家建設といった戦略的な対外政策の検討を求めることになる。しかし、体制転換の目標を軍事介入と結びつけたとき、それを実行に移すための手段を講じることが要請される。それを結びつけなければ、軍事ミッションが展開していくなかで、同盟国にも敵にも、そしてアメリカ国民にも混乱を生じさせる。宣言した目標を達成できなければ、戦略的な後退を引き起こすことにもなる。

第二に、各国の状況をそれぞれに特有の条件から検証し、それぞれの文化や歴史をアメリカの戦略的、経済的な利益と結び付けることを模索しなければならない。この作業によって、多様な大衆運動の背景にある動機を分析し、それぞれに対して適切な対応が可能になる。

第三に、アメリカが支持する対象、人物を明確に知っておく必要がある。リビアにおいて、現実には我々は内戦において一方の側に立っている。しかし、専制君主に反対することだけでは十分ではない。権力の継承それ自体が大きな問題を作り出さないような、なにがしかの保証が必要だ。それゆえ、体制転換後の秩序のコンセプトを持っておくことが重要だ。この地域が最も望んでいないことは破綻国家が次々と生まれてしまうことだ。

第四に、アメリカ国内において、通例は議会に支えられた、支持がなければならない。支持されていない政策を遂行することは短期的に大きな困難を伴うだけでなく、長期的にも持続させることができない。朝鮮戦争、ベトナム戦争、そして第二次湾岸戦争[本文はsecond Iraq war]の経験は、手詰まり状況が長引けば国内の指示が徐々に弱まっていくことを教えてくれる。

第五に、意図しない結果を考慮しなければならない。親カダフィ派の市民を反乱軍の残虐行為から保護することを考えなければならない。リビアでの顛末は、イラン人がカダフィが核計画を西側との関係強化のために断念したと捉えれば、イラン政府の核開発を加速させるだろう。核拡散に対抗する決意を、ならず者国家に確信させ続けなければならない。

第六に、これが最も重要なのだが、アメリカは死活的な国益に関して、強固で、同時にケース毎に異なった理解を作り上げなければならない。この地域におけるすべての動乱が、同じ起源をもつわけでも、同じ対応策を必要とするわけでもない。アラブの春は、この地域の人々、そして世界にとって大きな機会を提供する可能性がある。長い時間をかけて民主主義を育てていくことはイスラム過激派に代替するものを提供することになる。短期的には、過激派の支持者のパワーを増すことにもなりかねない。どのような時間的な枠組みで、何が達成可能なのか、現実的なコンセプトを築き上げる必要がある。

アラブ/ペルシャ湾岸地域という世界の大半のエネルギー源の長期的な安定こそ、アメリカにとっての死活的な利益だ。また同様に本質的な利益を、この地域の国がイスラム過激派を育てるような土地にならないことにも見出している。

アメリカは、国益を守るための決意と、我々の国家を偉大なものとしている価値――民主主義、自由、人権――を促進していくことを接合するような政策を追求しなければならない。そのような実利主義的な理想主義こそが、イスラム世界におこっている歴史的な変革から来る、挑戦と機会に対処する最善の道となる。

著者のヘンリー・A・キッシンジャー氏は1973年より77年までアメリカ合衆国国務長官を務め、ジェームズ・A・ベーカー三世氏は1989年から92年まで国務長官を務めた。

仮訳:Ryo's Blog

アメリカにおける「衰退主義」? [記事紹介]

最近にネットにアップされた、いくつかの興味深い記事を紹介します。

昨秋に行われた、アメリカ中間選挙に関する中山先生の分析。中国認識のくだり、まさにその通りと感じていますが、反発も多いかもしれません。

現在の米国では、いま米国が陥っている苦境は、乗り越えることが可能な状況であり、より構造的なものであり、米国は衰退しつつあるのではないかという不安感が漂っている。今回の選挙において、このような不安感を集約し、増幅させたのが、「台頭する大国」を象徴した中国というシンボルであった。


中山俊宏「中間選挙とアメリカの不安」月刊『東亜』2010年12月号
http://www.kazankai.org/essay_list.html?id=1&name=%C3%E6%BB%B3+%BD%D3%B9%A8&ym=2010-12&file=0

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出典:http://www.time.com/time/nation/article/0,8599,2056582,00.html

実態として中国の成長がもたらしている問題、危険性があるのは事実ですが、アメリカ社会における今回の盛り上がりは、やはり異常ともいえるもので、「衰退主義」ともいわれる、この自己認識の根っこには、アメリカの繁栄が持続可能なのか、軍事力偏重の対外政策によって軍事費を再び9.11後に増大させ他の予算を圧迫している現状が正しいのか、問い直す姿勢もあるかと思っています。すなわち、単純な中国脅威論というよりは、自らへの不安が存在しているということです。

この点に関して、ジョージケナンによるX論文にならって、Y論文として現役の海軍大佐、海兵隊大佐による実名で、ウッドロー・ウィルソン国際センターより出版されたところです。
http://www.wilsoncenter.org/index.cfm?fuseaction=news.item&news_id=683158

アメリカにある、ひとつの立場(“健全な”内向き志向への回帰)を代表していると思います。軍事力の役割を見直し、開発・外交・国防を手段としたうえで、封じ込めではなく開放的な世界のなかでの信頼に値する影響力の確保、そのための国内の健全性の確保、教育・エネルギー等への投資を訴えています。海外でのスマートパワーの行使の前に、スマートな成長が必要だ、という主張はまさに象徴的です。

本文は少し読みづらいものですが、冒頭のAnne-Marie Slaughterプリンストン大教授(前国務省政策企画局長)のまとめが要領を得ています。

関連するイベントをウッドロー・ウィルソン国際センターが月曜日に開催したところ、パネル参加者には、Thomas Friedman(ニューヨークタイムズ)、Steve Clemons(新アメリカ財団)、Keith Ellison (民主党ミネソタ州選出下院議員、初のイスラム教徒の議員) Robert Kagan(ブルッキングス研究所、ネオコンの代表的論客)、Brent Scowcroft(ブッシュ政権(41)の国家安全保障担当大統領補佐官)、Anne Marie Slaughter教授。

アメリカ国内における、「衰退主義」とそれへの反論、部分的な肯定など、中間選挙前に大きく盛り上がった議論は、収束するどころか、むしろ盛り上がっていると感じています。

リビア問題やアフパック(アフガニスタン・パキスタン問題)、または北東アジアでのアメリカの対応にも、このような悲観的なパワー認識は影響してくるのでしょうか。おそらく短期的にはそのようなことは起きない(アフパック、イラクでの過度な負担のためリビアでの対応など徐々に負担シフトの色が濃くなってきていることに留意しつつも)、中長期的には軍事予算の削減、外交・開発へのシフト(QDDRも参照)、同盟国への負担シフト、アメリカ国内の重視という流れが強まるのでしょう。とりあえずは2012年という選挙年に向けて、議論の大きな底流となってくると考えます。

単純な孤立主義への回帰ではないことに大きく注意を喚起しつつ、しかし、このような認識がいかなる政策選択へつながってくるか、注目していきたいところです。

さて、

畠山先生の論考は、エジプトへのアメリカの対応の問題の本質を鋭く分析されています。現在のリビアへの対応をみていても、示唆的かと思います。

畠山圭一「ムバラク退陣とネオ・リベラル外交―米政権内でくすぶるネオ・リベラル対現実主義の対立―」
http://www.rips.or.jp/from_rips/rips_eye/no133.html

リビアに関しては、空爆開始直後のエコノミスト誌に掲載されていたキャメロン英首相の記事も興味深いものでした。(飛行機の中で読みました。先月、飛行機だけで12回乗っているんですよね、、合計50時間弱。。CAを超えそうです。)

"The ghost of Tony David Cameron leads a sceptical nation to war" The Economist, Mar 24th 2011
http://www.economist.com/node/18440625?story_id=18440625&CFID=167907164&CFTOKEN=94189308

最新の話は、コロコロ変わるので、それは新聞でフォローしてください。
ただ、以下のキッシンジャー・ベーカーの歴代国務長官によるオピニオンは一読に値します。
Grounds for U.S. military intervention
By Henry A. Kissinger and and James A. Baker III, Friday, April , 7:10 PM
http://www.washingtonpost.com/opinions/grounds-for-us-military-intervention/2011/04/07/AFDqX03C_story.html

話はさらに変わりますが、安保改定50周年セミナー(防衛研究所)の論文もアップされました。
http://www.nids.go.jp/event/other/just/index.html
楠綾子「吉田茂と日米同盟の形成」 
千々和泰明「安保改定における「相互性の確保」と「抑止力の維持」」

外交フォーラムの後継雑誌『外交』(時事通信社)の第1号も、若干時間が経ちましたが外務省HPで公開されています。今後も公開予定とのこと。発行月だけ誰でも読める『国際問題』とともに、学生をはじめ広く読んでもらいところです。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/gaikou/gaikou.html

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最後に、アメリカのアジア担当高官が少し変わります。

日本にとって悪いことはないと思いますが、対中政策の基本ラインを構築してきた高官が入れ替わることで逆にバタつくことがあればそれはそれで面倒かと思います。これからの2年間は先述の通り選挙との関係もあり、去年ですっかり懲りた中国が下手なことをしなくても米中関係では色々と波風が立つため、うまいマネージメントが求められるところです。

http://www.nytimes.com/2011/04/09/world/asia/09diplomacy.html?_r=1

防衛研究所の最新資料数点 [記事紹介]

年度末を感じさせますが、防衛研究所(NIDS)のHPには色々と面白い資料が掲載されました。
特に、初めてとなる「中国安全保障レポート」の刊行は注目されるところです。

まずは、毎年、国際安全保障に関する適切な知識の確認の場を提供してくれる「東アジア戦略概観」をみてみましょう。最終章の「日本」は例年通り、我が国の安全保障政策の基本概念をめぐる熱い議論が繰り広げられます。今年は防衛大綱が策定されたこともあり、中間領域論、アジア太平洋の安全保障協力、動的防衛力、拡大抑止に関して、適切なロジック、言い回しの選択の背景が提供されています。

また、各地域に関しても興味深い記述が目立ちますが、ここでは私の研究にからめて、二つの箇所にある、最新の展開を紹介しておきます。

10月 12日、第 1 回ADMM プラスが開催された。会議において各国国防相らは南シナ海問題や非伝統的安全保障での協力に関して協議し、特に人道支援・災害救援、海上の安全保障、防衛医学、テロ対策、平和 維持活動の 5 分野で協力を推進することを確認した。そしてこれら 5 つの分野の協力を具体化するため、専門家会合(EWG)の設立が合意された。また各国は拡大ASEAN 国防高級事務者会合(ADSOM プラス)および拡大ASEAN 国防高級事務者会合ワーキンググループ(ADSOMプラスWG)の設立で合意した。ADMM プラスは 3 年ごとの開催で、次回は 2013 年にブルネイで行われる予定であるのに対し、ADSOM プラスはこの間ADMMプラスで合意された事項の実施に関して協議するものであり、第 1 回は 2011 年にインドネシアで開催されることになっている。なお、人道支援・災害救援に関するEWG には中国とベトナムが、海上の安全保障に関するEWG にはマレーシアとオーストラリアが、平和維持活動に関するEWG にはフィリピンとニュージーランドが、防衛医学に関するEWG には日本とシンガポールが、テロ対策に関するEWG には米国とインドネシアが共同議長に立候補し、12月のADSOMプラスWG において了承された。[東アジア戦略概観2010年、134-135頁]


共同議長方式・・・。東アジア共同体に関する議論に詳しい方であれば、東アジアサミット開催前夜の熱い議論を思い出すかもしれません。ASEANから一国、それ以外(当時は日中韓、今は+8)から一国という方式は、ひょっともすれば、ASEANの中心性を少しずつ剥ぎとる、もとい、中和させることにつながるかもしれませんね。

また、ADMMプラスが軌道に乗れば、個人的にはシャングリラダイアローグはその歴史的使命を終えた、と思うのですがどうでしょう。いや、英仏のような国が絡んでいることに意義がある、という主張はごもっともですが。

アメリカの章では以下の記述があります。

オバマ政権は東南アジア諸国に対する関与も強めている。東南アジアの同盟国であるタイやフィリピンとは、政治、経済、安全保障など幅広い問題について緊密に協力しており、タイとは「創造的パートナーシップ協定」を開始し、フィリピンとは 2011 年 1月に初の「2+2 戦略対話」を行う予定である。インドネシアとは 1998 年以来停止していた軍事交流を再開させることで合意し、11月には「包括的パートナーシップ協定」に署名した。[同、214頁]


少し記述の内容が古いですが、昨年のまとめですので。しかし、アメリカがASEAN中心の枠組み以外のバイ(二カ国)、三カ国、多国間の取り組みを増大させていることは、このブログではすっかりおなじみですが、興味深いものです。

今求められている、新たなトラック2(民間主体)の場は、まさにこのようなアメリカとその同盟国、パートナー諸国の対話の場だと思っています。まずは日米+ミドルパワー数カ国を軸にすればよいでしょう。日米欧の枠組みにも大きな可能性があります。トラック2はトラック1をけん引してこそ意味があり、(特に資源の制約が厳しい時代には)継続は力なり、ではありません。新しいトラック2、新しいアイディア、モメンタムの獲得。期待しつつ、私も汗を流したいところです。

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中国安全保障レポートは、防衛研究所の代表的な新進気鋭の中国専門家が結集して作成されたものです。

ということで、色々と引用して解説しよう、と思ったのですが、なんとコピー&ペイストができない。。。

http://www.nids.go.jp/publication/chinareport/index.html

個人的には、中国指導部の発言を引用して人民解放軍への期待と役割を論じている部分、国際安全保障への参画、特にPKOの経験提供や軍事外交を通じて相手方に解放軍の強さを示して抑止的な効果を得る、という記述が勉強になりました。

英語と中国語も同時出版でなによりです。

東アジアとアメリカ [記事紹介]

今の話題は、エジプトへのオバマの三行半と、今後の「飛び火[どんっ(衝撃)]」だと思いますが、

いや、さらにアメリカの中国大使の「後釜」でしょうが、
 *ジェフ・ベーダー説、スタインバーグ説は面白かった。けど元議員や選挙キャンペーン関係もありでしょう。お願いだからアメリカの中国研究者というのだけはやめましょう。

飛び火とか、後釜とか、少し後ろ向きな話なので、いくつか別の話題を紹介します。

ポイントは5分で書いているので、興味をお持ちの場合は原文でお読みください。

Is Obama about to go wobbly on North Korea?
Posted By Mike Green Tuesday, February 1, 2011 - 8:08 PM
http://shadow.foreignpolicy.com/posts/2011/02/01/is_obama_about_to_go_wobbly_on_north_korea

筆者はマイケル・グリーン元国家安全保障会議アジア上級部長

昨年における日米韓関係の強化によるアプローチと異なり、最近には日本、韓国政府高官はアメリカ政府が対話路線に回帰している印象を受けている。胡錦濤訪米以来、同盟関係の強化によって中国に北朝鮮への圧力をかけようとする方向性から、米中が韓国に南北対話を勧奨するという構図に変わりつつある

アメリカ政府が対話を好む背景には3つの仮説が考えられる。第一に、北が核を巡る取引に応じる可能性をみいだしている。第二に、昨年からの緊張を緩和するために対話を必要と見ている。ただし、対話が北の行動を変えるかどうか、筆者は疑問に感じている。第三に、日米韓や国際社会による抑止と制裁にあわせて、北にその戦略的意図を伝え、対話に引きずり出すため。筆者は第二と第三の中間、望ましくは第三に近いところに政権の意図があると考えているが、対話によって何を引き出せるか、慎重に見極めるべき、と説く。

Southeast Asia from the Corner of 18th & K Streets
Volume II | Issue No. 1 | February 2, 2011
http://csis.informz.net/CSIS/data/images/110202-southeastasia1.pdf

戦略国際問題研究所(CSIS)東南アジア部のニュースレター
・2010年の東南アジアの人、はヒラリー・クリントン国務長官だ
・同年、アメリカは東アジアサミットへの加入、ARF・ADMM+などへの参画もめだったが同時に、
  ・ベトナム、インドネシア、マレーシア、シンガポールとの二カ国間での関係強化
  ・メコン流域開発への参画
 というアプローチで効果を上げた。
・とくに、マレーシア外交の成功を、このニュースレターはたたえており、以下のような表現になっています。
  ・キャンベル国務次官補もマレーシア関係を2010年でもっとも成功したものとした。
  ・TPP参加、アフガニスタンへの非戦闘要員の派遣、核不拡散レジーム強化、2010年戦略貿易法策定
  ・首脳交流が2011年にあり得そうであり、オバマのマレーシア訪問となれば、ジョンソン大統領(1963-69)以来初となる。


How to Get Southeast Asia Right
February 02, 2011
By Daniel Kliman & Abe Denmark
http://the-diplomat.com/2011/02/02/how-to-get-southeast-asia-right/

筆者は新アメリカ安全保障研究センターの研究員2名
全体としては、アメリカの東南アジア戦略の進展を評価しつつ、どのように次の一手を打つか、という内容であり、(このブログの出張とも重なるように)どの大国にも傾斜しない東南アジアの特徴を意識した上で、二カ国間関係の強化をそれぞれ可能な範囲で進めることを提案。

南シナ海の行動規範のformal化を提案した上で、シンガポール、インドネシアと論じて、そのうえでベトナム。
ベトナムに関して、
 ・軍事交流を発展させるために現状の遭難救出を越えて、コブラ・ゴールド演習へ参加させるべき ・武器輸出を拡大するためITARの例外項目を作るべき
 ・カムラン湾を潜水艦を含む海外諸国に使用させることを再開するというベトナム政府の声明を踏まえ、ベトナムの地理的な重要性を踏まえた計画を立てるべき

気になった記事を是非、ご覧ください。

ハンツマン大使の辞任 [記事紹介]

1月6日に、The Cable(フォーリンポリシー誌)を引用して、ハンツマン中国大使の辞任・大統領選準備に否定的な報道があったこと(けど、政治は一寸先は闇で、状況が変わるだろう)と書きましたが、

辞めるようです。4月末日付けで、すでに「退職願」がだされたとのワシントン・ポストの報道。
共和党の有力候補となるのは間違いないのですが、サラ・ペイリンが銃撃事件後の失地を回復できないタイミングを中道をまとめるのに好機とみたのでしょうか。

http://voices.washingtonpost.com/thefix/eye-on-2012/jon-huntsman-expected-to-resig.html

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